事例紹介

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導入事例・レポート

将来の環境変化を見据え、いま先手を打つ

株式会社いなげや 武蔵村山センター 様

2024/06/03

精肉盛付ロボット「ロボットパッカーRP-001」導入事例
株式会社いなげや様 武蔵村山センター(東京都武蔵村市)

 首都圏を中心に130店舗のスーパーマーケットを展開している、株式会社いなげや。
 人手不足と人財獲得競争が激しさを増すなか、将来のプロセスセンター(PC)のあるべき姿を目指し様々な改革を推進していらっしゃいます。
 その一環として2024年3月に日本キャリア工業製の精肉盛付ロボット「ロボットパッカー」を導入。その狙いと効果を伺いました。

同じ投資をするなら、リターンのある方へ投資を

Q: このたびは精肉盛付ロボット「ロボットパッカー」を導入くださいまして、誠にありがとうございました。改めまして今般のロボットパッカーの導入に至った背景や経緯についてお教えいただけますでしょうか。

栃尾リーダー: 我々いなげや精肉センターとしては、①人手不足と人件費の高騰、②稼働時間の長時間化の2つが大きな課題でした。PCの稼働時間は早朝から深夜にまで及んでいましたし、人手不足についてはこのPCが工業地帯にあり人財獲得競争が激しい状況にあります。今後この状況は悪くなることはあっても改善する可能性は低いことは容易に想像がつきます。生産性の改善も限界にきており、今後の製造コストの上昇は避けられないうえ、このままでは生産数の維持すら難しくなっていくと考えていました。
 人財獲得競争に勝つために今までより高い時給にしたとしても、生産量を増やしたり製造コストを削減することは困難です。一方生産性の高い機器や自動化装置ならば初期コストはかかりますが、時間内の生産量を増やし加工コストを下げることはできる。すなわち投資に対するリターンが見込めます。ですから同じ追加コストを払うならリターンを見込める方に投資しようと考えました。

佐藤部長: 栃尾リーダーの言う通り、これからの時代は人件費を含めコストが下がっていくことはもう考えられない。同じ投資をするにしても自動化への投資を行えば、コストの上げ幅を僅かでも抑えることができ、且つその設備が将来的には我々の財産になると考えました。確かに自動化設備への投資は安くないが、それ以上に人件費の上昇スピードは速い。であればその上昇をいかに抑え、且つその投資に対し見合った回収があるかという観点で検討しました。

栃尾リーダー: 近い将来、精肉分野にもこういったロボットが絶対に必要になってくると思います。しかし数年後人財確保がこれまで以上に深刻化し、現場が崩壊しかけている時にあわてて導入しても、すぐには使いこなせないだろうとも考えました。その時になってから「どのアイテムを作ればよい?」「効率的なレイアウトは?」と慌てふためいて考え始めても遅い。今からロボットを使い始め、その得意・不得意や効果的な使い方のノウハウを蓄積し、来るであろうその時はもうロボットをフルに活用できる体制を整えておきたい。そのために今回このタイミングでロボットを導入することとしました。

自らロボットを使いこなす体制づくりを

Q: ロボットパッカーを現場に導入するにあたり、検討されたことや準備したことはございますか。

栃尾リーダー: これはロボット導入のためというより、それ以前から行っていたことではありますが、自分たちが主体的に物事に関わり、現場が活性化していくための体制づくりを行いました。例えば構成するメンバー各人の役割と責任を明確にし、安全・品質・生産の行動基準を念頭に作業を分解し、工程や作業内容の平準化と運用マニュアルを作成していきました。こういった取り組みを現場のスタッフ自身が行うことにより、自ら改善点やレイアウトを考え、様々な意見を現場から上げてくれるようになり、みんなが主体性をもって動くような雰囲気に変わりました。こうして機械を使いこなせる体制ができてきたと思っています。

Q: 機械を使いこなせる体制の構築ですか。

栃尾リーダー: はい。主体的に動くような組織になると、新しい加工機器が来たとき現場が自ら更なる活用方法を試行錯誤しながら模索してくれます。自分たちで考え活用を模索した過程はノウハウとして蓄積されていき、次の新たな課題が出てきた時も自力で解決するための糧となります。

製造品目を絞ることでロボットの効果を最大化

栃尾リーダー: また当PCで生産している数多くの商品のうち「どの商品をロボットに任せるか」も考えました。多彩な機能を持つロボットではありますがその効果を最大限に引き出すため、2つの基準で生産商品を絞っていきました。1つ目の基準は生産量が多い商品です。単品の大量生産を行い、切り替え作業によるラインの停止時間を極小化し稼働率を高めることを狙っています。2つ目の基準は人手では技術や手間がかかる商品をロボットに、という考え方です。人手では作るのが難しく手間や技術が必要な商品は自動化した方が生産性を大きく改善できます。こういった考え方から折り曲げ加工が必要なロースうす切り商品を軸にAtoZとロボットパッカーの組み合わせで製造できる商品をロボットに任せています。一方で少量多品種の製造やあまり高度な技術を必要としない商品は手作業で行うことにしました。これならロボットと手作業それぞれの得意分野を活かせますし、新人のスタッフでも充分活躍していただけます。

Q: ロボット導入による効果は如何でしょうか。

栃尾リーダー: 機械単体同士で比較すると、同じ時間内で数倍多く製造できています。まだロボット導入から数ヶ月ですが、すでに月間の生産稼働時間の短縮も実現できました。生産性の向上と総労働時間の減少で年間では大幅なコスト削減を見込んでいます。

ロボット複数台の導入で、効果の最大化を計画

Q: 今後のロボットの更なる活用のご計画はございますか。

栃尾リーダー: ロボットを早く複数台入れて導入効果を最大化したいと考えています。現在のロボット1台体制だと盛付スタッフ2名削減できましたが、商品の最終チェックに1名は必要なのでトータル1名減となります。しかしロボット2台導入し連続した生産ラインを構築すれば盛付スタッフ4名削減しても最終チェック担当は1名で済みますのでトータル3名減が可能になります。ロボット3台体制ならさらにその削減効果は大きくできるでしょう。
 また現在「鱗列用ハンド」と「ハーフバラ横折用ハンド」を導入済です。ハンドの交換で製造できる商品を増やせますので、製造量が増えてきている「豚しゃぶしゃぶ用」もロボットに製造を任せ、ロボットでの製造量を増やし効果の最大化を図っていきたいと考えています。

Q: ロボットをお使いいただいて現時点での課題はありますか。

栃尾リーダー: まだ手直し担当者は必要で、盛付精度・定量精度は完璧ではありません。完全無人化にはできないのが実情です。これら精肉の加工の実態の情報を平井カンパニーさん、日本キャリアさんと今後も共有させていただくので、今後精度を改善して頂けたらと思っています。

平井カンパニーへの評価

Q: 弊社へのご評価をお聞かせいただけますでしょうか。

栃尾リーダー: 2016年にこの新精肉PCを作る時にも、機種選定から生産ライン、工場のレイアウト計画などPC構想段階から工場の稼働まで全てに関わっていただきました。また、いなげやの店舗における全てのスライサー・チョッパー、そして精肉PCのスライサーやミンチラインといった加工機まわりは全て平井カンパニーさんにお願いしておりますが、全く問題ありません。生産機器の提案や故障時の修理対応など色々お願いしていますが、いつも対応が早くとても助かっています。 また定期点検も大きな効果を上げています。当精肉PCでは長期間使用している機器も多々あるので、以前は機器の不具合が多発し度々メンテナンス担当の方に修理に来てもらっていました。しかし定期点検と計画修繕をきっちり行うようになってからは故障が激減しました。以前は週2~3日メンテナンスの方に来ていただいていましたが、ここ数ヶ月は平井カンパニーのメンテナンスの方来ていませんね(笑)。

弊社営業担当 猪瀬: はい。弊社メンテナンス担当は「最近いなげや様から連絡来ないね…」と寂しがっています(笑)。

栃尾リーダー: 一見、定期点検時の費用が大きく発生しているように見えますが、それ以外の月の修繕費が大きく減りました。また機器のダウンタイムが激減したので、それだけでも生産性改善に繋がっています。

厳しい時代に向けPCの強みを伸ばす

Q: 今後のご計画をお聞かせいただけますでしょうか。

栃尾リーダー: いま私たちは今後のPCのあるべき姿を目指し5か年計画を実行しています。あるべき姿とは生産数を現状以上に保ちながら稼働時間を短縮するということです。この計画を着実に実行していくため、平井カンパニーさんにも製造現場の定例会にも出席していただき、様々な課題を共有して解決策を一緒に考えていただいています。また当社の加工機器の使用年数やその状態から、更新時期など今後の投資計画も共有しています。その一環でこのロボットパッカーを導入しましたが、これからも最新機器の情報やレイアウト含めた生産現場の改善提案を頂ければ助かります。

佐藤部長: 業界共通した問題だとは思いますが、店舗での雇用確保が非常に難しくなってきています。しかしこうしたPC、すなわち製造拠点があることは当社にとって大きな強みであり、今後も積極的に投資を行っていこうと考えています。こういう取り組みを通じて、今以上に厳しい時代が来てもいなげやの精肉お買い場には変わらずいつでも鮮度と品質の良い価値ある商品を並べ続けていきたい。そのための変革をこれからも進めていきたいと考えています。

株式会社いなげや 生鮮・惣菜戦略統括部精肉部
 部長  佐藤 兼太朗 様(写真中央)
 精肉製造グループリーダー 栃尾 勝 様(写真右)

弊社
 営業部 猪瀬 友和(写真左)

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