事例紹介

REPORT

導入事例・レポート

すべては品質のために。グループのノウハウを結集したプロセスセンターを構築

関東日本フード株式会社様(北陸加工部)

2023/05/26

関東日本フード北陸加工部様 概要
所在地: 福井県福井市
稼働: 2022年4月

ニッポンハムグループが国内外で生産・輸入・加工する食肉製品の販売を担う関東日本フード株式会社。北陸加工部では北陸エリアを中心とした小売店・大手スーパーマーケットチェーンへの精肉パック商品を供給するアウトパック事業を展開されています。 既存工場が老朽化と将来の生産量拡大を見据え、2018年から移転・工場新設のプロジェクトが始動し、2022年に竣工・稼働しました。 そのプロジェクトの経緯とご苦労、そして新工場のこだわりと今後の事業展開についてお尋ねしました。

経緯① プロジェクトが正式に事業化されるまで

Q: 今回の新プロセスセンタープロジェクトのきっかけを教えていただけますか?

大久保様: きっかけは、旧工場の老朽化でした。当社は工場を365日稼働させ、お客様に毎日納品しています。したがって、旧工場を修繕して使用することも検討しましたが、現実的には困難でした。そこで、新たに土地を探し、1日で移転し、生産・納品を止めることなく移行するという方向性を模索しました。

Q: では移転先の土地探しからはじめられたのですね。

大久保様: はい。土地の場所については現状お願いしている物流会社様の拠点や納品しているお客様の場所、そして従業員の通勤を考えると、おのずとエリアは絞られてきますし、食品工場を作れる場所となるとさらに選択肢は限られてきます。工場の広さについては平井カンパニーさんからざっくりとした情報はもらっていたので、その建屋が入る場所ということで探しました。  今回の場所が候補として挙がった時も平井カンパニーさんにも相談しました。想定している生産品目と生産量をお伝えして相応の生産能力を持った工場レイアウトのラフ案を作成していただき、「この広さなら工場を作れる」という事も確認しました。また頂いた工場ラフ案の延床面積から建築費の概算も把握できますし、生産設備の費用については平井カンパニーさんが概算を出してくれました。また具体的な場所がわかったので物流費も算出していきました。  こうして土地代や建物代を含めた初期投資、人件費やランニングコスト、そして配送先への物流費を踏まえたコスト計算を行い、お客様の事業展開や営業エリアの市場環境などを総合的に検討したうえで、会社として正式に事業化が決まりました。

<今般取材にご対応いただいた大久保様>

経緯② プロジェクトが正式に始動

Q: 事業化が正式に決まりました。プロジェクトをどのように進めていったのでしょうか。

大久保様: 当社に加工肉ではなく精肉のプロセスセンターを作ったことのある人間などいませんでした。また私もお肉については知っていますが、工場設備については素人同然です。ですからもう皆さんにお任せ状態で進めていきました(笑)。  グループには日本ハムエンジニアリング株式会社があります。彼らはハム・ソーセージなどの加工肉の分野については工場建屋はもちろん機器設備にも精通していますが、精肉のスライス加工やそのための建屋については経験が殆どありません。ですので今回の精肉PCのプロジェクトにおいては、建物の設計・エンジニアリングは日本ハムエンジニアリングにお願いしつつ精肉加工機器の機種選定や生産ライン設計は平井カンパニー。工場のレイアウトやゾーニング、建築や設備備品の仕様ついては当社の品管も加えた3者で詳細を決めていきました。

Q: 例えば具体的にはどのように検討し決めて行かれたのですか

大久保様: 生産品目と生産数量はある程度想定した数値を持っていましたし、機種も店舗用ではなく工場用の高性能な機械を採用したいという大方針は持っていました。そこから平井カンパニーさんから機種毎のメリット・デメリットも教えてもらい、デモや見学もしながら機種を決めていきました。

榎下: 当初予定していた機種からの変更もありましたね

大久保様: そうですね。色々教えてもらってるうちに少し処理能力は劣りますが、我々が重視する「品質」や「歩留まり」でもっと良い機械があることもわかりましたので、変更しました。ただ処理能力が変わると想定した所要時間も変わってくるので、そこは再度所要時間をシミュレーションしてもらいながら機種と台数を決めていきました。
 そのほかの各種備品の仕様についても他社事例も含めた提案を頂き、当社の品管とニッポンハムグループの安全や品質基準に照らし合わせながら一つ一つ仕様を固めました。そして生産機器と備品を配置した生産ラインを構築し、そのラインが入る加工室と工程の上流下流の原料庫や包装室、マテハン機器を配置し、工場全体のレイアウトを固めていきました。
 工場全体のレイアウトが決まると、今度は日本ハムエンジニアリングで基本設計・実施設計へと進み、コンペを実施して建設会社様を決め建築工事へと進めていきました。

<種選定や機器配置レイアウト設計はお客様と共につくりあげた>

経緯③ 建築工程における苦労

Q: 建築工事が始まりました。

大久保様: 実際に建築のフェーズになると、ゼネコンさんと下請会社や設備会社、加工機器、備品を扱う業者など多くの関係者が出てきますし、その関係者と細かい仕様や工事・納品工程を調整し決定しなければいけない点が膨大に出てきました。時折連絡の行き違いや認識の違いなどもあり、施主である我々が交通整理をしなければならない場面も多々ありました。ですが我々も工場の稼働に向けて人員や物流面など、体制の構築など他にやらなければならない準備作業は山ほどありましたし、何より工場の建物については素人だったので決めれないことも多い。周りの方にお願いすることも多かったですね。機器と設備回りについては殆ど平井カンパニーさんに管理をお願いしていましたね(笑)

榎下: いつの間にか、ですね(笑)

大久保様: 自然にそういう流れになっていき、あまり関係ないものも含めて殆どすべて管理して頂いちゃいましたね(笑)

猪瀬: 事務所の備品の納品工程まで、ですね(笑)

大久保様: はい、工程表まで作っていただいて、建設会社との工程調整までお願いしてましたね(笑)。我々は肉のことはわかるけど精肉の加工機器や建物の事は分からない。建築会社の方々は建物についてはプロだが、加工機器や食品工場に求められる仕様や設備については分かっていないこともある。平井カンパニーさんはその間を繋ぎ、相手の仕事がスムーズに行えるよう関係者間を調整し、全体工程がスムーズに進むような進行管理を施主である我々のために行ってくれました。色々な準備に忙殺されていた我々にとって平井カンパニーさんの存在は本当に助かりました。

新設工場の品質へのこだわり

Q: 今回の新プロセスセンターにおいて、特にこだわった点はなんでしょうか。

大久保様: それはもちろん品質です。ニッポンハムグループの我々が製造するので品質ではどこにも負けないよう様々な点に拘りました。一つ目はやはり建屋の設計でしょうか。衛生管理はもちろんですが加工部屋やゾーンごとにきめ細かく温度管理できるようにしています。空調システムは食品工場でもポピュラーなソックダクトのほか、ニッポンハムグループでも広く採用されている更に高度な空調システムを採用し、最適な温度管理とスタッフの働きやすい環境を実現しています。そして事務所の管理システムで全部屋の状況の把握とコントロールができるようにもなっています。  搬送を自動化するためにマテハン機器を導入していますが、設定温度が異なるところや衛生管理が変わるゾーンを通過する際には搬送コンベア上にも自動ドアを設け、モノが通過するとき以外は扉を閉め、温度の変化や空気の流入を極力抑え、商品に悪影響を与えるの環境の温度変化を最小限にしています。

<クレート搬送ラインを導入し省力化を図る>

大久保様: 2つ目はやはり商品そのものの品質です。消費者の方に選んでいただける、見た目も奇麗で食べておいしい、安全・安心で高品質な商品作りをすることにより、我々のお客様である小売業の皆様にも喜んでいただける商品を作る、これに尽きます。精肉商品においては鮮度や奇麗でおいしそうな見た目も大事ですので、加工機器は様々な選択肢の中から奇麗な商品作りができる事を念頭に置いて機種を選択しました。特に日本キャリア工業のスライサーはスライス断面が奇麗で美しい商品作りが可能ですし、歩留まりも良い。加えて商品作りに熟練した技術を必要とせず新人スタッフでもすぐに品質の高い商品が作れます。その点から採用を決めました。

Q: お客様からの評判はいかがでしたか

大久保様: お褒めの言葉を頂きました。お客様のバイヤー様や課長からは「前の工場よりモノの鮮度は抜群に良くなった」との評価を頂きました。

平井カンパニーへの評価

大久保様: こんなことまでやってくれるんですか、そこまで気づいてやってくれる会社なんですね、というのが率直な感想です。最初から相談ばかりでしたし、もう何から何までお任せ状態でしたし、平井カンパニーさんがいなかったらこんなスムーズに進めることはできなかっただろうな、と思います。  最初平井カンパニーというのはエンジニアリングの会社で、ライン設計やレイアウト設計業務がメインと思っていたのですが、商品作りや生産ライン、工場建屋の細かいところでの仕様、建築が始まってからの様々な決め事や小さいトラブル対処も含めて、現場の事全てわかっていて本当にすごいなと思いました。図面とか資料だけではなく現場に入り込んだ案件を物凄い数経験されているんだなと感じました。  また機種選定においても様々なメーカーを扱っているし、全国のプロセスセンターへの導入実績もあるので、メーカーや機種毎の最適な用途やメリット・デメリットも第3者的にアドバイスいただけました。やはり各メーカーさんに直接聞いても悪いことはなかなか聞けないのですが、平井カンパニーさんは様々な視点から機種選定の提案をしてくれるので、とても参考になりました。もうご意見番ですね(笑)。

榎下: いいえ、そんな大したものではございません(笑)

大久保様: でもこういう「工場を作る」という仕事は社内でもそうそうある話ではないし、当然社内に経験者なんていないことが殆どでしょう。また通常の事務所や倉庫だったら箱を作って終わりかもしれませんが、生産工場だとそうはいかない。適切な生産能力を持った製造機器が無いとモノが作れないし、その機器をどう配置してライン化するか、衛生管理やゾーニング、モノと人の流れをどうしていくか、製造品目や工程ごとに違う適切な温度管理も知ったうえで工場レイアウトを組み立てていかないと良い商品は作れない。建設会社は建物の専門家ではありますが食品加工やその生産ラインの専門家ではない。ですから加工機械だけでなく工程やあるべき工場のレイアウトにまで知識があり、我々のような食品を加工する会社の思いを生産ラインや工場レイアウトに落として具現化し、建設会社さんや設備機器会社をはじめとした多くの関係者間と繋いでくれる平井カンパニーさんの存在は大きいと思います。  今後もまた新たな計画があった時は榎下さんと猪瀬さんに丸投げすると思いますので、よろしくお願いします(笑)。

猪瀬: はい、お手柔らかにお願いします(笑)。

関東日本フード、そして北陸加工部の今後の展開

大久保様: 消費者の皆様向けの精肉アウトパック商品を製造する、というのは実はグループ全体を見渡してもほぼこの北陸加工部だけなんです。そういう意味ではこの北陸加工部の事業は将来への試金石であり且つ戦略的な拠点でもあります。  今は建物が無事竣工し稼働を開始して一つの区切りはできたわけですが、今後は現状からさらに生産量を増加させていくとともに、北陸地域の他の小売店様にも選んでいただけるよう、高品質で消費者の方から選んでいただける商品作りをしていきたいです。また刻々と変化していく消費者の方々のニーズに応え、新商品も開発して生産規模を拡大していきたいと考えています。  安心・安全でおいしい。消費者の方々から信頼して選んでいただける。「やっぱりニッポンハムグループだな」と思っていただき、また手に取っていただける、そんな商品をこの北陸加工部からも消費者の皆さんに届けていきたいと思っています。

関東日本フード株式会社 北越事業部 指導主幹 大久保 亮司 様(写真中央)
弊社 営業統括部長 榎下(写真右)、営業担当 猪瀬(写真左)

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