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【顧問レポート】現場にモノを供給するプロセスセンターの位置づけ

2018/06/14


プロセスセンター・工場の赤字を次々に黒字へと転化させていった“生鮮センターのプロ”佐々木嗣礼氏より現場にモノを供給するプロセスセンター(以下、PC)の位置付けという視点で述べていただきました。

はじめに

私は「物流」を「物的流通(Physical Distribution)」の範囲を超え、軍事の「Logistics(=兵站)」を学び「物流」という仕事に用いて来ました。 何故か? 我々小売り業を含めてですが、企業間では日々熾烈な競争(=戦争)をしている訳です。競争(=戦争)の最前線は「直接消費者と接し販売をしている店舗(販売所)」です。「物流」を極めて単純に言えば「指定された地点から指定された地点迄、指定された物(商品)を指定された日時に配送する」ことです。ですが実際の「物流」には、熾烈な競争に生き残る上で示される経営総体の政策(戦略)に向けた「表に出ない先行部隊」としての役割が付託されることもあり、「物流」という括りだけでは余りにも「部分的過ぎる」と考えるからです。

「PC」とは?

「PC(Process Center)」=「食品加工センタ-」(食品の一次・二次加工、事前の包装や値付けなどを一括して行う処理場)で「物流」の「6つの機能」の一つ「流通加工」の一形態であり、「物流の主な施設」の一つ「流通加工センタ-」の一形態、というように区分されています。

「Logistics(=兵站)」とは?

1)戦争の理論を構成する三要素(「戦略」「戦術」「兵站」)の一つ。
  ⇒ 戦争とは…「政治の継続」であり、「下策」「絶対悪」…である。

2)三要素+( )
 「戦略」;目的を、実際の戦争をせずに獲得出来る方策を組み立てること。
      同時に想定する(される)戦争への万全な備えを立案すること。
      ※(作戦);何処から、どういう戦争を始め終らせるかを立案すること。
 「戦術」;(作戦)を進める現実の「戦闘技術」の組立・運用、練度のこと。
 「兵站」;戦略により、基地・補給線設定、必需品調達・配送・備蓄、情報整備、人員その他の充足等々を行い、移動し戦う前線の部隊に迅速・確実に補給・補充・整備を行うこと。


現場にモノを供給するPCの位置づけ

PCは前述したように「物流機能」の一部です。これを「ロジステイックス(兵站)」の視点から見てみると・・・

1)PCとは、経営(販売)戦略に基づいて戦いの最前線(=店舗)が勝利する為の「武器・弾薬その他必需品」詰まり最前線が要求する「競争店より売れる商品」を加工・生産すること。それらを要求通りに、数量(不良品「0」)・日時・場所・使用容器(マテハン)・情報の添付等を行い確実に送り届けること。 その為に最適立地を選定しセンタ-を建設し、原料調達・加工者確保・配送手段等々を設計し実行すること等です。 このことが出来なければ最前線(=店舗)は競争(=戦争)に負けてしまいます。実際の戦争であれば「全滅」(=閉鎖・倒産)です。

2)PCは「販売シェアを拡大(最低でも維持)」することです。

間違ってはならない「コスト削減課題」

次に、重要な点はPCの稼働により店舗を中心とした全体コストが、新設されたPCコストを含めても削減されるかです。

1)最重点は、PC稼働によって店舗側で無くなる作業を明確にし、人員を含めた作業組み立てを大幅に変更しコスト削減を行うことです。
 ※PCが供給する商品品質が店舗より悪ければ店舗作業は削減されません。

2)二つ目は「PCの稼働・運営コストの削減」です。「1パック当たりコスト」は販売戦略立案時に、生産する商品の品質設計と実際の店舗インストア生産時コスト等によって設定されます。PC側の「コスト削減」への重点は「生産性の抜本的向上」の取り組みです。この課題は先ず設計段階で大きく制約されます(ハ-ド部分)。その上でソフト対策です。詰まり「改善活動」等ですがこの課題に「終わり」はありません。存在する限り継続されるべき課題です。

佐々木 嗣礼 氏

1972年、コープさっぽろ入協(入協時配属:水産担当)以降、Mgr・店長・地区長等々を経験。 50歳より、PC・生産工場・物流の拡張を行い、関わったPC・工場の赤字を黒字に転化。2013年9月、65歳で退職。
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